第20巻、スラックス。

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スラックスは、他にトラウザース、パンツ、ズボンとも呼ばれます。
ズボンはフランス語でペチコートの意味のジュボンから来ているといわれています。フォーマルのところで話しましたね。
英語のトラウザースが複数形なのは、15世紀に中世貴族が着ていたタイツが2つに分かれていたことがその起源と言われています。フランス革命当時、上流階級は膝丈のブリーチを、労働者階級は足首までの長さのあるズボンやパンタロンやニッカーボッカーのようなキュロットという膝丈あたりまでのものを履いていました。
スラックスとは英語で「ゆるい」「ゆるんだ」という意味で、スラックスはタックなどで脚にゆとりを持たせたズボンを指す言葉でしたが、背広のズボンがこのような形のものが一般的になったことから広まったと言われています。

スラックスのシルエットは普通型(流行によって細くなったり太くなったりするが、あまり変化しない)、テーパード(裾口に向かって、先細りになっている)、スリム・スラックス、スキニー(テーパードを細くしたもの)、パイプド・ステム、ズート(煙突のように、上から下まで同じ太さのもの)、フレア、ベルボトム、パンタロン(膝までぴったりしており、膝から下がベルのように広がっているもの)、ベルボトム(裾の広がりがブーツカットよりも大きいもの)、オックスフォード・バックス、バギーパンツ(極端に、太いシルエット)などなどあります。
バギーパンツ
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股上の長さもレギュラー、ハイライザー、ヒップハング=ローライズがあります。
裾口の仕上げ方には、モーニング・カット=アングルド・ボトム(前を短く、後ろを長く仕立てたもの、靴にかかるのを防ぐため)、カフレス=シング(折り返しなし)、ターンナップ=ダブル(裾口を長く折り曲げて、ダブルにしてあるもの)、カット・オフ(裾口を切り離したままにしているもの、ジーンズなど)、レース・アップ(作業用として紐でしばっていたのが、のちに1つの飾りとなったもの)などがあります。
裾丈の長さは、ノークッション、ハーフクッション、ワンクッションと長くなっていきます。

パンツの種類にはジーンズ、チノパンツ、カーゴパンツ、ジョッパーズ、ニッカポッカ、ペインターパンツ、カーペンターパンツ、オーバーオール、サルエルパンツ、スウェットパンツ、トレーニングパンツなどたくさんあります。

ジーンズはデニム生地でできたズボンを指しますが、このデニムの語源はフランス語セルジュ・ドゥ・ニームで、フランスのニームの綾織りといった意味です。ニームのすぐれた綾織りの布地が短縮され、デニムとなった訳です。またこのセルジュ・ドゥ・ニームと呼ばれる生地はイタリアのジェノヴァから各国に輸出されたので、ジェノバの古いフランス語、ジェーヌからジーンズと呼ばれました。
1870年にヤコブ デービスがリベット使いのキャンパス地のパンツを発売して、リバイス ストラウスに特許申請してもらいました。1873年にリバイス ストラウスから特許申請済みのパンツが発売されました。残念デービスさん。
またインディコ染めには防虫効果があるとか、ガラガラ蛇に襲われないとか色々な逸話がありますが、そんな機能はほとんどないということみたいです。残念。
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チノパンツは、チノクロスと呼ばれる綾織の綿などの生地を使用したパンツのことで、チノとはスペイン語で中国人を表す言葉です。インドに駐屯していたイギリス陸軍のカーキ生地の軍装が起源で、その後アメリカ陸軍にも採用されました。フィリピンから帰国した兵士より1900年代にアメリカ国内に広まりました。

カーゴパンツは6ポケットパンツとも呼ばれ、貨物船(カーゴシップ)の乗組員が着ていたことに由来します。

ジョッパーズは乗馬用のパンツのことで、インドの都市ジョードプルに由来して、その地域の人々が履いていたズボンだったと言われています。
ペインターは、ペンキ屋さん、カーペンターは大工さんで、ブラシやカナヅチを入れるポケットやループが特徴。オーバーオールは、胸当て付きの作業用でサロペットとも呼ばれます。
サルエルパンツは、もともとはイスラムの民族衣装。
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スラックス、パンツはこのあたりで。


日本にはスラックスの専業メーカーがあって、ここの企画の人達はスラックスのことばかり考えてばかりいるんです。この会社の先輩がユニークで、展示会に行かせて頂くと新製品を紹介してくれるのですが・・・「このスラックスはね〜ここからコインを入れると、ここに入るんだよ。」と。どういうことかというと、普通はコインポケットがある位置(ウエスマンの下)に小さな口が付いていて、そこにコインを入れると腰ポケットの中の忍びポケットにコインが出てくるというものです。・・・先輩、それ直接腰ポケットに入れた方が早いのでは。
また販促の人もユニークで、「うちの展示会には百貨店関係や小売店の人が、たくさん来るから新製品の紹介する場として便利ですよ。」と言って飲料メーカーに飲み物を協賛してもらっていました。天才です。
この会社以前は厳しい反物の受け入れ基準があって、スラックスにとってベストな素材しか使わなかったです。それは、ハリがあって型崩れしない丈夫な素材です。その素材は、上着には堅すぎるものでした。当時私のいた会社はライセンスの関係で、セットアップ企画をしようとすると、この会社にスラックスの生産を依頼する必要がありました。すると素材に対する考え方の違いから、互いに相容れないことが起きてしまいます。まあ最終てきには折り合いを付けて素材を選定しましたが、大変でした。今は時代の流れでイタリア製などの柔らかめの素材も使うみたいですが、きっと新しい基準があるのでしょう。非常に真面目で素晴らしい会社です。

話は変わりますが、私はZARAファンです。特にセーターとカジュアルスラックスが大好きです。カジュアルスラックスは、 あのプライスで、細かいディテールや附属に凝ったモノを作る姿勢が好きです。
以前フランスやイタリアのデザイナーとライセンスを引いている時、スラックスのデザインも毎シーズン10点ほど提案されていました。その時は他のアイテムに時間が取られてスラックスまで真剣に取り組むことができませんでした。多分ザラくらいの規模とブランドならスラックス専任のデザイナーがいると思いますが。本気で考えて取り組んでいる姿勢が素晴らしいです。
まあ個人的には、よく オマケで付いているベルトは必要ありませんが。
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