第3巻、ウールについて。

みなさんがよく言われる、春夏物、秋冬物とは何が違うのか言うと、通気性と保温性です。
後は熱伝導率の高いものを選ぶ、水分を気化させて、気化熱を利用したりとかは、また今度。
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ダウンパーカーのように、空気を溜めて保温性を上げる、風通しのいい熱伝導率に富んだ麻のシャツを着て涼しく過ごすなどなど、自然と選んでいるものにも理由があります。

まず通気性を上げたければ、隙間の空いたものを選ぶ、ジャケットならメッシュ組織とか、パナマクロスとか、スーツならフレスコ(ポーラ)、シャツならローンとか。

保温性を上げたければ、目の詰まったものを選ぶ、ジャケット、スーツならフラノ仕上げとか、ツイードとか、空気をたっぷり含んだものを選ぶ、シャツならネルとか、セーターを着るとか。
後は風が入らないように、コートを着る。

では、ウールを例に色々お話ししたいとおもいます。
ウールはそもそも冬暖かく、夏涼しいという特徴があります。


ウールが暖かいのは、織物やニットの構造そのものが、たくさんの空気を含んでいるからです。
空気の熱伝導率は、たいへん低いため繊維組織内にある空気が外部の冷たい空気を遮断してくれるわけです。

ウールに含まれる空気の量は60%にも達するといわれています。
多量の空気を含んでいるので空気の厚い層ができ、それが夏には暑さを遮断する働きをするため、ウールが「夏、涼しい繊維」と言われる訳です。

そしてその空気を含むもう一つの理由が、ウールの繊維が持つ「縮れ」にあります。
その縮れは「クリンプ」と呼ばれています。天然パーマのようなもので、繊維が縮れているので、そこに空気が溜まります。
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また、ウールの吸湿性は、他繊維と比べ、群を抜いています。
ところが、ウール製品はムレたり、ジメジメした感じがせず、またウールのコートを着て、小雨にあっても、防水加工がしてあるわけでもないのに、軽くたたくだけで水滴は飛び散ってしまいます。
この吸湿性と、水をはじく撥水性、矛盾した性質はウールの構造によるものです。
ウールの繊維の外側、表面の層は水をはじき、内側は逆に親水性があります。
この表面にある層のことを「スケール」と言います。人のキューティクル のようなものです。
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さらにスケールには、ごく細かい孔があり、水滴をはじきますが、気体となっている水分は、この穴を通 過し、内側の親水性の層にどんどん浸透されます。
また逆のコースで水分を発散されるわけです。

ウールの暖かさはウールの吸湿性のよさとも大きく関係しています。
気体となっている水分がウールに吸収されるときに、厳密にいうと、気体から液体に変わる時に、多量の熱を生み出します。。そこで、暖かく感じるのです。

暖かさ涼しさに関係ありませんが、もうひとつのウールの特徴は弾力性に富んでいることです。
ウールはゆっくりと引き伸ばすと約30%も伸びます。また、ウールは伸ばした力を緩めると元通りになろうとし、しばらくすると完全にもとの長さに戻ります。
これはウールの優れた弾力性を示すものといえます。また、ウール製品のふっくらとしたやさしい風合いを生み出す理由です。
セーターの袖口が伸びてしまうことがありますが、素材がウールならば、蒸気を当てるだけでもとの状態に戻ります。

この優れた回復力と弾力性が「しわになりにくく、しわになってもすぐ元に戻る」というウールの特徴を生み出します。
また、ウールは、燃えにくい汚れにくい染めやすく色落ちしにくい、という特徴も持ち合わせています。

また、ウールには個性的な特徴があり、ウール100%の生地をもみ洗いすると、小さく硬くなります。フエルトになる性質(縮絨性=しゅくじゅうせい)です。この性質を利用して、ピアノのハンマークロスやビリヤードクロスを作ったり、フラノの生地を作たりします。

このように、ウールの優れた特徴を活かし、スーツなどを、一年中着ることとが可能となり、様々なシーンで利用されるようになります。ウールが繊維の王様と呼ばれる所以です。

よく麻はシワになりやすい、ポリエステルはシワになると消えにくいと言いいますが、これは全てウールと比較して、表現されるものです。ウールが全ての繊維の基準となると言い換えることも可能です。

この様に優れたウールにも欠点はあります。ひとつあげるならば、皆さんも雨の日や、湿度の高い日に、スーツがシワになったり、衿のステッチの所などがピリついたりする経験があるのではないでしょうか。これは先に述べた、ウールのスケールとクリンプが湿度によって変化し生地が伸びたたり縮んだりするために起きることです。専門的にはハイグラルエキスパンション(湿度変化)による現象です。また、バブリング= パッカリング(生地が波状にボコボコ浮いてる)カーリング(生地の端が巻き込む)も湿度変化によって起きることです。
これらが起きると素人では、なかなか元に戻すのは大変です。街のクリーニング店でも難しいと言われるケースが多いと思います。もしご自分で何とかしたい方は、スチームアイロンとスチームを使わないアイロンをかけてトライしてみて下さい。

話を春夏物、秋冬物に戻して、ウールの春夏物、秋冬物を何処で見分けるかというと、生地の織り方もあるのですが、通常は目付(めつけ)=ウエイトで見分けます。

目付=ウエイトとは生地巾×1mの生地の重さを言います。一般的なウールの生地は153cm巾なので、153cm×100cmの生地の重さを言います。
ヨーロッパでは、先に長々と述べたウールの番手というイメージはあまりなく、この目付=ウエイトで素材の話をします。
せっかく覚えたウールの番手なのにすみません。でも日本では番手の方が一般的でう。

ここ20年くらい、メンズウエアの素材は薄く軽くなって、春夏、秋冬の素材のウエイトの差がなくなってきました。それだけ贅沢になったということもできます。

一般的な秋冬のスーツ素材は60番手双糸で300g前後、春夏で260g前後です。これは織り方の違いから生まれるものです。春夏は平織、秋冬は綾織とした場合です。
72番手双糸の場合は、秋冬で280g、春夏で240g前後です。
この差は糸の太さ、番手からくるものです。
昔はもっとしっかりと織っていたため、秋冬だと60番手双糸で360g前後春夏で300g前後でした。一般的な秋冬のスーツには48番手双糸を使用していて380〜400gありました。
スーツ1着3mとして、昔と今のスーツ自体の重さの違いは生地だけでも300g前後、それに芯地や付属も今は軽くなっているので随分と違っていることになります。

今は夏、上着を着ないので、260g程度の素材で1年中着るということも可能です。

オーバーコート地も今は380〜420g程度、昔は500gなど普通に使用していました。
まあ、温暖化で冬でも暖かいし、暖房も効いているし薄くても大丈夫なのですね。
昔のオーバーコートは、暖かかったけど確かに肩がこりました。

織り方については、また後ほど。


この記事へのコメント

暑中見舞
2015年07月24日 18:51
何故?
ティミー?
可愛い❤

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