第16巻、ロングコート。

フロック、モーニング、テール全てコートじゃん!コートの話。
まず、ロングコートから、代表的なのはチェスターコフィールドート、カバートコート、ローデンコート、ポロコート、、ブリティシュウォーマー、タイロッケンコート、ステンカラーコート、アルスターコート、トレンチコート、ダスターコート、スポルベリーノなどなど、衿型やパーツが違うだけでも名前が変わります。あ、ボナパルトカラーコートっていうのもありました。
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チェスターフィールドコートは、丈はやや長めが基本で、膝程度が一般的です。見た目はフロックコートや背広に近く19世紀に、チェスターフィールド伯爵がはじめて着たのが最も有力な由来とされています。正式なものは、ボタンが見えないような比翼仕立て(隠しボタン)と呼ばれるもので、上襟はベルベット、ラペルは拝絹(タキシードのようにシルク)の物がありますが、一般的には、シングルまたはダブルの打ち抜きで襟も共布になっています。
襟がビロードなのは、フランス革命で処刑されたルイ16世とマリー・アントワネットを弔う気持ちを表したものでした。現在は礼装や普段着など関係なく着用されます。丈も、腰丈や腿丈が多くあります。ダブルブレステッド・チェスターコートはダブルのチェスターフィールドコートのことで、よくダブルチェスターと呼ぶやつです。
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カバート・コートは、古くは乗馬や狩猟の際の防寒外套として、カバートクロスと呼ばれる丈夫な綾織りのウールで作ることから名づけられたコートです。カバートクロス生地は、狩猟時に獲物を追いながら木立や藪をくぐり抜ける際に引っ掛かったり鉤裂きが起きにくいように、起毛を寝かせ滑らかに仕上げられていることが多いです。

ローデンコートは、オーストリア、ローデレス地方由来の厚手の縮絨(しゅくじゅう)ウール生地・ローデンクロスで作られるコートで、本来は狩猟や農業、林業に用いられました。
深めの打ち合いに、打ち抜きのくるみ釦を使用し、脇の下を縫い付けないことにより肩周りの可動域を広く取り猟銃を構えやすくするフローティングショルダー構造が特徴です。昔ながらのローデンコートはローデングリーンと呼ばれる緑がかった色合いのものが多いです。
余談ですが、このローデン、イギリス人の大好物で、仕事をしているとローデン◯◯と、やたら出てきます。
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チェスターフィールドコートのウエストを絞らずに四角く作ったコートがその後ポロコートに進化しました。ポロコートとは、ポロの観戦用のコートで、もともとはラクダの毛(キャメルヘアー)を使用した、ダブルブレスト6×3のデザインのコートです。余裕のあるウエストを背バンドで絞った、袖先がターンアップカウス(ダブルカフス)のデザインのものが多くあり、なかなかレディーメイド(既製服)では見かけませんが、結構かっこいいコートです。後ろ姿は下の写真です。
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ブリティッシュウォーマーは、第一次世界大戦のイギリスの軍服に使用されたコートで、アルスターコート、ポロコートの一種です。フロントはダブル仕立てで、勲章付きの軍礼装の上に羽織る前提で、大きめに作ることが多く、肩章が付いているのが特徴です。
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タイロッケンコートは、英国バーバリー社の19世紀末頃の代表的な製品で、冬季軍装として多く用いられました。フロントボタンがなく、タイでロックする=ベルトで固定するという名称由来の通り、ウエスト全周をベルトのみで絞って留めるガウンのような構造です。シングルフロントながらダブルフロントに見えるほど打ち合いが深いのが特徴です。
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ステンカラーコートは、バルカラーコート、バルマカーンコート、スタンドフォールカラーとも呼ばれることもあります。「ステンカラー」は和製英語で、「ステン」はフランス語の「支える」と言う意味です。また後ろが立ち上がって前に落ちている衿からスタンド フォール カラーに由来するとも言われています。「バル」または「バルマカーン」とは、インバネスコートの由来ともなったスコットランド・インヴァネスの近郊にある地名バルマカーンに由来します。
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インバネスコートはスコットランドのインヴァネス地方で生まれたとされているためこう呼ばれています。マントのとようなこの形状は、雨天など過酷な気象でもバグパイプ(スコットランドの楽器)を守り・演奏するのに作成されたと言われています。鹿撃ち帽にパイプにインバネスコートでシャーロック・ホームズのトレードマークとして知られています。日本では二重マント、トンビなどが同じようなタイプです。
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アルスターコートはトレンチコートの元祖で、衛兵が着用していたことが由来します。アルスターカラーの打ち合いはダブルフロントの6釦か8釦が特徴で、背バンド付いて、仲間にポロコート、ブリティッシュウォーマーがあります。重い生地で仕立てることが多かったためヘビーコートとも呼ばれ、ダブルフロントで嵐にも耐える意味からストームコートとも呼ばれています。
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トレンチコートの起源は第一次世界大戦のイギリス軍で、寒冷な欧州での戦いに対応する防水型の軍用コートが求められたことから開発されたもので、その原型は既に1900年頃には考案されていて第一次大戦での普及が、一般への広がりの契機となったとも見られています。
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トレンチ=塹壕(ざんごう)とは、戦争の時、穴を掘って身を守るものです。トレンチコートが第一次大戦で力を発揮したことから名付けられました。ファッションとして用いられるようになってからも、軍服としての名残を多く残しています。イギリスのバーバリーとアクアスキュータムの2社の製品が元祖と言われ、現在でも有名で実用性が高く、機能美に優れることから、1930年代以降、男性の冬のファッションとして定番の一つとなりました。ハンフリー・ボガートやアラン・ラッドなどの俳優がフィルム・ノワールの中で着たことで、より人気が高まり、トレンチコートに「ハードボイルド」のスタイリッシュなイメージを植え付けました。肩にはボタン留めのショルダーストラップ=肩章が付き、水筒や双眼鏡、ランヤード=拳銃吊り紐などを吊ったりします。また戦中に仲間が倒れた時には、このストラップを持って引っ張ることにも役立ちました。腰回りに備え付けられているD鐶(ディーカン)は、もともと手榴弾を吊り下げる用途の名残とされています。衿元にはチン・ストラップ=チンウォーマーと呼ばれる帯が付き、手首にもストラップが付き、締めることで風を防ぐことがです。右胸(肩)に縫い付けられた当て布はストームフラップと呼ばれ、全てボタンを留めると、雨の侵入を防ぎます。

もういいですね、ロングコート、ダスターコート、スポルベリーノは軽いホコリよけです。
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