第8巻、原料、紡績。

繊維に関する基礎的な知識の話が終わりましたので、これからは繊維を糸にして、織り上げて、生地に仕上げるまでをお話したいと思います。
化学繊維を例に取ると化学の授業みたいになって気持ち悪いので、ここでも毛織物でお話したいと思います。
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まず原料となる毛を手配したいと思います。
毛には、羊毛と獣毛があります。

羊にもたくさんの種類があり、3000種以上いると言われています。
最も有名で、品質の高いウールを産出できるメリノ種(細毛種)。メリノ種にもオーストラリア、ニュージーランド、フランス、南アフリカメリノなどがあります。
メリノ種は基本的にはスペインメリノが原型となります。
メリノ
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メリノ種以外に、中毛種、長毛種、雑種羊毛があります。

英国羊毛のグループに入る、ロムニー、ブラックフェース、、チェビオット、サウスダウン、ハンプシャー、シロップシャー、ジャコブなどがあるます。
皆、色もさまざまで、毛が太いものや細いもの、腰があるモノやサラッとしているもの、チリチリパーマのものなど多種多様です。
私はスコティッシュ ブラックフェースが好きです。ひつじのショーンのモデルで、スコットランドを車で移動している時、団体で草を食べながら、目と顔で「 何だアイツ」 と追われた経験があります。

獣毛には、山羊科のモヘア、カシミア、ラクダ科のキャメル、アルパカ、ビキューナ、うさぎ科のアンゴララビットの他に、ヤク、ミンク、オポッサム(袋ねずみ=ディズニーランドのビッグサンダーマウンテンにいるやつです)などがあります。
モヘア
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カシミア
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ビキューナ
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アンゴララビット
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若干ややこしいのですが、モヘアはアンゴラ山羊の毛で、カンデブーモヘヤという南アフリカ産の有名なものがあります。モヘアはハリがあり、光沢が良い春夏の高級スーツ素材のひとつです。
染めには、先染めと後染めがあります。
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羊毛に話を戻して、生後1〜2年経つと毎年春に羊の毛刈りをします。この刈った原毛のことをフリースと呼びます。あのフリースの語源です。
まずは、刈り取った原毛を選別します。羊毛は他の繊維と異なり、羊の育つ環境や種類の違いで太さ、長さがことなり、不純物などが混入しているからです。
選別された原毛をきれいに洗います。。ウールに含まれている脂、土、砂を取り除く作業です。その後適度の乾燥させます。
次に針の付いたローラーに通して、繊維を1本1本にほぐし、薄い毛の膜を作ります。コレを束ねてロープ状にしていきます。この状態をスライバーといいます。これを更に櫛でとかしたり、のばしたりを繰り返し、並べた後、軽く巻き上げます。この状態ではまだ糸にはなっていません。
この状態で束ねたものを、トップ=篠(シノ)といいます。
トップ=しの
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羊毛の紡績には梳毛(そもう=ウーステッド)紡績と、紡毛(ぼうもう=ウーレン)紡績があります。
2種類の紡績の違いは、使用する繊維の長さです。
梳毛で使用する原料の長さは、紡毛で使用する原料の3〜6倍の長さのものを使用します。
また、梳毛紡績の方が工程数も多く手間が掛かります。
言い換えれば、梳毛紡績では紡績できない短い毛を紡毛紡績には使用するとも言えます。

梳毛の糸は繊維の配列がよく、均一で、毛羽立ちが少なく、滑らかで光沢があります。
紡毛の糸は、繊維の配列が悪く、毛羽立ちがあり、膨らみがあって弾力があり、柔らかく、フェルト化(ウールの特性のひとつ)しやすいという特徴があります。
そのような特性から、梳毛はスーツなどに使用し、紡毛はジャケットコートなどに使用するのが一般的でず。もちろん梳毛のジャケット、コート、紡毛のスーツもよくあります。

梳毛は1〜90番手単糸(1/1〜1/90)、紡毛で1〜36番手単糸(1/1〜1/36)くらいの糸を作りのが限界とされていますが、技術は日に日に進化しています。
ここでは単糸ですが、この単糸を二本撚り合わせると双糸(そうし)=2プライになります。
3本撚り合せるとミコ=3プライとなります。
2本以上の違う色の糸を撚り合せたものを杢(もく)糸と言います。素材に表面効果をつけるために使用したり、色の馴染みをよくするために使用します。50年代、60年代の春夏のスーツは3本撚り三杢(みつもく)ポーラ(縦緯強撚)がメインでした。当時は紡績技術が進んでいないので、太番手の糸を3本撚り合せていたので、丈夫で通気性は良いのですが、重かった。(目付400g以上とか)

紡績の話をこれ以上進めると機械の説明ばかりになってしまいます。
やっと糸が準備できたので、そろそろ染めたいと思います。

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