第11巻、仕上げ整理、加工

ここからは、生地の表面感や肌触りを大きく左右する仕上げ整理、加工に関してお話しします。
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まず春夏物のスーツ地やギャバジンや、サージのように毛羽をできるだけ残さないクリアー仕上げ。これは毛羽をを十分に焼き取ります。

続いて少し毛羽感があって暖かみのあるサキソニーなどのミルド仕上げ。この仕上げは味わいがあっていいにですが、白黒の柄物=グレンチェックや千鳥格子、ヘアーラインやシャークスキンは避けた方が懸命です。必ず毛羽立ったて、所々毛が抜けて、ムラになります。残念。
サキソニー
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フラノ仕上げ
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もっと暖かみのあるフラノ仕上げは、組織を緻密( ちみつ)にし、また毛端を絡ませてフェルト状にすることで出来上がります。石鹸溶液や アルカリ性溶液で湿らせて圧力や摩擦を加えて収縮(しゅうしゅく=縮める)させるという方法です。これをもっと強く施すと、ピーコートでお馴染みのメルトンが出来上がります。私のショットのピーコートなんて鬼みたいに厚くって暖かいのですが、重い重い、奴は700gくらい目付があります。

オーバーコートでお馴染みのビーバー仕上げ、もう少し毛足の長いシャギーは少し違います。織り上げたあと、蒸気や圧力で縮め、針やアザミのトゲで強く起毛し長い毛を出し、一定の長さに毛羽(けば)を揃え、つぎに毛羽をたて糸の方向にプレスして寝かせる加工仕上げます。これを何度も繰り返した毛足が均一で密度が高いなものが良い素材です。
カシミヤのオーバーコートなど高価なものを購入する時は、逆毛を立てるように両手の親指と人差し指で摘まんで滑らせ、下から毛並みを見ると良いものと、そうでないものの違いがよく分かります。
私のお勧めは、E .ゼニアか深喜毛織です。
ビーバー仕上げ
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ここまで仕上げについてお話してきました。この仕上げの段階で様々な加工があります。

撥水加工、字のとおり水を弾きます。ついでに油もというのもあります。これは、基本フッ素系薬品による機能です。焦げないフライパンでお馴染みのフッ素です。撥水には通常撥水、超撥水、ナノ撥水があり、ドライクリーニングを何回出したら何%の撥水力があるかで、 区分されます。ナノは半永久、超はドライクリーニング15回で75%というような調子です。梅雨にはべんりですね。基本ウールは水を弾くとお話ししましたが、限度はあります。綿のコートも同じです、アクアスキュータム=水の盾でも、英国軍に採用されたバーバリーの生地をでも、同じです。こういう時は、撥水加工で。撥水加工は段々弱くなって行きます。そういう時は、乾熱(かんねつ=スチームを使わない)アイロンをかけてみてください、蘇るかもしれません。

ナチュラルストレッチ。ポリウレタンやオペロンが少し入った素材でなく、ウール100%のストレッチ素材です。幅の広い生地を作って、横方向に縮めるといったイメージです。その縮んだ横の分が横に伸びる感じです。

他にも涼感加工や蓄熱加工、防塵(ぼうじん)加工、防臭抗菌などなど。

フォーマル素材で濃染(のうせん)加工。黒い色を際立たさせる加工でウールの特徴であるスケール(人のキューティクルのようなもの)を薬品で溶かして、表面をツルツルにして乱反射を無くして黒く見せるものです。ヨーロッパではこの薬品は環境汚染の観点から使用禁止されています。だいたい西洋に略礼服って無いし、あんなものは日本だけの服だし。間違っても海外の結婚式やお葬式、セレモニーには着て行かないように、何着てるんだアイツって思われます。

やっと生地までできました。お疲れ様です。ここまで読んでいただいた方は、凄い繊維ツウです。服飾業界でここまで知っている人は1割もいないと思います。百貨店や小売店の販売スタッフではあなたに太刀打ちできません。




さあ、ファッションの話をしましょう。



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