第10巻、織りから仕上げ。

いよいよ織りますか。
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その前に布には織物(おりもの)=テキスタイル、編物(あみもの)=ニッティング、不織布(ふしょくふ)=ノン ウーブンがあります。


織物の基本は、織機を使って経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の2組の糸を直角に交差 させること。経糸(たていと)を張りその間に緯糸(よこいと)を通すものを言います。毛織物、綿織物、絹織物など。


編物は糸を編んで作った布のこと。編む(あむ)とは、紐状のものを絡み合わせたり、結びあわせてひとつの形に作り上げること。ニット、ジャージ、レースなど


不織布とは、繊維(糸ではない)を織らずに絡み合わせたシート状のもの。フエルト、エクセーヌなど。


ようは、織物は縦糸(たていと)、緯糸(よこいと),がある。
編物は1本の糸からできている。
不織布は、字のとおり織っていない布。
この布が何か調べる時、残布の端をほどいて、2本に分かれたら織物、2本に分かれなければ編物か不織布、よく見て布に規則性があれば編物、何をしても布が伸びるくらいで何ともならなければ、不織布というわけです。


織り方には平織(ひらおり)、綾織(あやおり)、繻子織=朱子織(しゅすおり)があります。この3種の織り方を三元組織と言います。

平織(ひらおり=プレーン)とは、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交互に浮き沈みさせて織る、最も単純な織物組織です。できあがった模様は左右対称になり、丈夫で摩擦に強く、織り方も簡単なため、広く応用されています。
春夏のウール100%の平織物をウールトロピカルと言います。また、経糸と緯糸を2本もしくは数本ずつ引き揃えて織ったものを斜子織(ななこおり=バスケットウィーヴ)と言い、シャツ生地などで有名なオックスフォードがあります。他にもシーチング、ブロード、ポーラ、シホン、オーガンジーなどがあります。
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綾織(あやおり=ツイル)もしくは斜文織(しゃもんおり)とは、タテ糸が2本もしく3本のヨコ糸の上を通過した後、1本のヨコ糸の下を通過することを繰り返して織られもの。糸の交差する点が斜めに見えることから、(綾目=あやめ)と呼ばれ、できあがった模様は左右非対称になります。平織に比べると摩擦に弱く、強度に欠けますが密度が高く、伸縮性に優れ、シワがなりにくい特徴があります。平織と比較して密度が高く、保温性に優れ暖かく、秋冬物のスーツ素材は、ほぼこの織り方です。
代表的な織物にサージ、ギャバジン、トルコチン、キャバリーツイル、フランス綾などがあります。
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繻子織(しゅすおり=サテン、朱子織とも書く)は、経糸(たていと)・緯糸(よこいと)五本以上から構成される織物です。経・緯どちらかの糸の浮きが非常に少なく、経糸または緯糸のみが表に表れているように見えます。密度が高く地は厚いが、綾織(斜文織)よりも柔軟性に長け、光沢が強いのが特徴です。ただし、摩擦や引っかかりには弱いという短所もあります。主な織物は、サテン、ドスキンで主にフォーマルウエアとして用いられています。
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あと他にも、ジャガード織があります。ジャガード織機を使う特殊な織物です。

また、三元組織を応用、組み合わせて、二重織(にじゅうおり)があります、俗にいう、ダブルクロスです。表綾織の裏繻子織の要領です。これも昔の秋冬のスーツとして当たり前で、重い重い、でもすごく丈夫です。(目付500g以上とか)

高度成長期のサラリーマンのスーツは春夏も秋冬も重かったんですね。でもこの時代の繊維業界は儲かったみたいですよ。「ガチャ万」って言って、織機がガチャって動けば1万円儲かるみたな。

それでは織ります。


織物を作る場合はまず縦糸を整形します、そこに緯糸を通していく訳です。並べられたたて糸に一定の方式に従ってよこ糸を交錯させます。織物を作る機械を織機(しょっき)といいます。
たて糸を数千本平行に並べて整えて(整形)巻いたものを織機に仕掛けます。
それぞれのたて糸を、よこ糸の上になるものと、下になるものに交互に分けます。
開いたところによこ糸を通します。
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通したよこ糸を前にウチ寄せてつめます。
ようは鶴の恩返しです。たて糸を並べて、1本づつ交互に上と下に開いてその隙間によこ糸を通す。そのあと通したよこ糸を整えて、さっき下にあった たて糸を上に、上にあった たて糸を下にして、よこ糸を通す、そしてよこ糸を整える。この繰り返しです。こんなことでスーツ地を織るのは機械にしかできません。

ここで先に出てきた獣毛のモヘアですが、非常にハリのある繊維で単糸でしか使いません、というか双糸にしても戻ろうとするんです。またハリが強すぎて縦糸(たていと)に使うと切れてしまいます。ですからモヘアは緯糸(よこいと)に使用するのが通常です。モヘア入りの生地でウール70%モヘア30%と書いていたら、それは縦糸(たていと)ウール100%、緯糸(よこいと)モヘア60%ウール40%ということで、全体の混率がウール70%モヘア30%となる訳です。 またまれにウール40%モヘア60%という生地がありますが、これは縦糸(たていと)ウール100%緯糸(よこいと)モヘア100%なのですが、緯糸(よこいと)のモヘアの方が縦糸(たていと)のウールより太い糸を使用しているので全体の混率がモヘアの方が多くなる訳です。またもっとまれにモヘア100%の生地がありますが、これは間違っているか(よこいとの表示を書いてしまった)水溶性ビニロン(PVA)という繊維を紡績の段階でモヘアに混ぜておいて、縦糸(たていと)として使用して織りあがってから水に浸けて水溶性ビニロンを溶かしてしまう。するとモヘア100%となる訳です。

織機にはションヘル、レピア、ズルサー、エアージェットなどがあり、後の方が新しい織機で速く織り上げることが可能です。もちろん速い織機の方が高価です。
最近尾州の機屋(はたや)で未だにションヘルだけで稼働しているところが、昔ながらの織機でまじめに作っていると宣伝して、それに飛びつた無知なファッション誌やセレクトがありますが、彼らは設備投資しなかっただけです。ションヘルが一番素晴らしいとか見ると「あーこの人達は知らないんだなあ」と思います。例えばションヘルは低速すぎて細番手のギャバジンを織ると傷だらけになって生地として使い物になりません。テンション(糸のハリ具合)の調整も困難です。なんとなくハリコシのない、妙によこに伸びる生地を見かけます。だいたい古い機械の方が良い物ができるって普通あります?
ションヘル
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エアー織機
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やっと織り上がりました。でも織っただけの生地はまだ使えません。

つぎに織物表面の不要な毛羽を焼き取り、熱湯の中にいれて、廻転させて、織物の形、長さ、幅をセットします。熱風で乾燥させて幅を一定にします。ここで反染(たんぞめ)にするのなら染めます。

続いて製品になってから型崩れのしない反物にするために、蒸気をあてます。最後に加工の終った毛織物の、汚れやキズ、幅、長さ等を厳重にチェックします。織物を巻き取っておしまいです。
やっと織り上がりました。でも織っただけの生地はまだ使えません。


生地の仕上げには、シュランク仕上げといって、製品になってから織物が縮まないように、仕上げの最後の段階で、あらかじめ強制的に十分収縮(しゅうしゅく)させておく加工があります。毛織物ではロンドン・シュランク、綿織物ではサンフォライズ加工などがあります。また化学的に行う防縮加工やヒートセット加工などもあります。この仕上げがきちんとできているかは、結構重要な要素です。大昔は織り上がった生地を何日間も川の流れにつけて、取り出し自然乾燥させていたらしいです。

そう言えば、良い生地ってどうゆうものだと思います。特にスーツ素材は、触って ハリ、コシ、ヌメリがある ものを選んでください。これは春夏秋冬とも同じです。やわらすぎてもダメ、何となく腰の無いのもダメ、触ってヌルミというか、ヌメリ(滑り)のあるものが良いんです。分かりにくければ、2~3種類の生地を触り比べれば分かってきます。

私のお勧めは、E.ゼニアか三つ星毛糸のカムデンメリノ、カノニコも十分に良いと思いますよ。

ここまでは、生地ができるまでの一般的な流れを説明してきました。

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